大気と海のフロンティア

気象学の研究を行っている大学院生が様々な「フロンティア」に進むためのブログ

卒論中間発表で気づいたこと

 9月22日に卒論中間発表が行われました.初めての本格的な研究発表で,自分なりにどうしたら良い研究発表になるか考えたことを書きます.


研究テーマ
 私の研究テーマは「海が大気に影響を与える素過程のメカニズムを解明すること」です.具体的には,乱流フラックス(大気の乱流によって移動するエネルギー量)を船に設置された超音波風速計を使って調べます.


研究の進め方
 今回のテーマで本格的に研究を始めたのは,8月上旬頃でした.1ヶ月ほどで発表できる成果を出す必要があり,時間に追われながらの作業でした.
 私の場合,観測データは約2年分と十分な量がありますが,どの期間を対象とするか決めていなかったので,まず全期間の中から黒潮上など面白い場所を通っている期間を選びました.それを自分で作成した計算プログラムで計算しますが,自分で調整する変数もあります.その調整を繰り返しましたが,なかなか思うような結果が出ず,落ち込んだこともありました.また,同学年の友人が面白そうな結果を出しているのを見て,自分はまだまともな結果も出ていないと焦ったこともありました.
 それでも,中間発表がゴールではないので,自分のペースで研究を進めれば良いと自分に言い聞かせて,試行錯誤しながら少しずつ結果を出していきました.


発表内容の決定
 ある程度結果が出てきましたが,中間発表なので計算した4種類のものを示す未完成形にするか,1つだけに絞りそれを詳しく解説するというまとめた形にするか悩みましたが,結局後者にしました.その理由は,聴衆の多くが気象学の専門家ではないので,解説が少ないと何が面白いのか理解してくれないこと,たくさんの情報を示しても話しについてくることができないであろうこと,そして,発表者本人の希望としてじっくり解説したかったことがあります.
 発表は発表者自身が相手に伝えたいという強い姿勢がないと相手に伝わりません.その強い姿勢を作るためには,発表者が面白いと思うことのできる内容が必要です.その内容はどちらかと考えたときに,1つをじっくり解説した方が面白い内容になると思いました.このように発表では,発表者自身が面白いと思うことのできる内容であることが最も重要だと考えています.


発表時に気をつけたこと
・発表前に質問する
 今回は100人以上収容できる講義室で発表しました(聴衆は50人ほどでしたが).このような大きな空間で声を出すのはとても緊張します.ですので,発表前に質問するという声を出す行為によって,大きな空間で声を出すことへの抵抗を減らし,緊張を和らげました.
 大勢の前で質問することも緊張しますが,質問をすると大きく感じていた会場の空間が急に小さくなったように感じ,実際前で発表するときも,この空間で声を出すことへの抵抗はあまりありませんでした.

・聴衆を向いて話す
 プロジェクターで映した画面をレーザーポインターで指しながら話しますが,どうしても後ろの画面を向いて話しがちになってしまうので,強制的に前を向く姿勢を取りました.
 具体的には,パソコン台の前ではなく,横に立って画面に近い側の手でレーザーポインターを持ち,その逆の手をパソコン台に置いて話しをしました(写真参照).

 
 こうすれば,自然に前を向いて話すことができます.どうして前を向いて話す必要があるかというと,後ろを向くと声が聞こえにくいこともありますが,発表者が相手の顔を見ずに伝わる発表ができるかということが大きいと思います.1人でも真剣に聞いてくれている人の顔を見れば,自然と伝えようとする姿勢になります.聴衆の顔を見ずに発表すると,自分の世界に入ってしまい,自己満足的な発表で相手には伝わらないと思います.

・マイクに頼らない
 マイクを使用しましたが,ないものと思って後ろの人に話すつもりで声を出しました.実際,マイク無しで聞こえたかは分かりませんが,そのつもりで声を出すと張った声になるので「相手に伝えようとしている」ことが伝わると思います.これが相手に伝われば,相手も聞こうという姿勢になります.発表順が最後ということもあり全員が発表を聞こうという姿勢ではない可能性があるので,あまり聞く姿勢のない人にも聞いてもらえるようしっかり「相手に伝えようとしている」ことを伝える必要があります.


発表の反省点
 挙げればきりがないので,今回は質問時の対応について書きます.
 質問とは,聴衆が興味を持って聞いてくれたサインなので質問を多く受けるのは嬉しいことです.
 ただ,今回の発表では質問に答えられなかったときの心配をしすぎて,相手の質問を最後まで聞かず自分で勝手に解釈して一方的に答えてしまった場面もありました.相手に主導権を取られないようにと焦っていたこともあり,質問内容から離れていても強引に結びつけて都合良く回答をしたこともありました.質問と言っても相手とのコミュニケーションなので,そのコミュニケーションの基本である「相手の話を良く聞く」ということを徹底したいと思います.そのためには,最後まで相手の質問を聞いて,一呼吸置いて落ち着いてから,答えるのが良いと思います.


 初めての本格的な研究発表が終了しました.今回の発表で気づいたことは発表者は思った以上に聴衆のことを見ているのだということです.発表者の立場から見ると,良い発表をするためには聴衆がどれだけ大事かということが良く実感できました.
 今後は,学内外で研究発表を発表する機会,聞く機会の両方がありますが,それぞれの立場で発表を楽しみたいです.